わたしのご近所には、すてきな一画があります。

2度目の転勤先の大阪から、東京に帰ることになりました。

家族4人で住む家を探して、東久留米市の家にした決め手は長男の一言。

「日当たり君を、僕の部屋にするんだ」

2つ目の小学校からまた転校になってしまうことで、主人に非難の目を浴びせていた長男。東久留米のお家は、2階がとても日当たりがよかったのです。

私は、駅に近いマンションがいいと思っていたけれど、長男の気持ちを大事にすることにしました。

 

先に東京に帰っていた主人が、「いい所があるよ。」と連れて行ってくれたのがこの一画です。高い樹が立ち並び、時代劇にでも出てくるような立派な門、白い土蔵も見えました。「え~、ここが東京?明治時代?にタイムスリップしたみたい。」と思わず口にしていました。中学生の夏休みの課題図書は、井上靖の「しろばんば」。

主人公がばあばと土蔵で生活していた様子が描かれています。

「しろばんばの世界」とも、思ったのでした。

 

しろばんばの正体は、国の登録有形文化財の「村野家住宅」です。

立て看板には「村野家住宅は当市内に現存する唯一の茅葺民家と、それに付随する土蔵や門などが、級武州柳窪村以来この地に残る、江戸時代から明治期にかけての農村の風景を今につたえております。」と説明があります。

昭和23年1月に国の登録有形文化財に要録されました。

この住宅は個人が所有ですが、年に数回一般公開されます。人気があるので、抽選なんです。私たちも、3年前に見学できました。この辺りは、自宅の敷地に土蔵がある家が数軒あります。